2018-06-03

変わる観光業界ととちぎの可能性

株式会社大田原ツーリズム代表取締役社長 藤井 大介氏 千葉商科大学サービス創造学部准教授 山田 耕生氏【インタビュー】
株式会社大田原ツーリズム代表取締役社長
藤井 大介氏
千葉商科大学サービス創造学部准教授
山田 耕生氏

東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催を前に、成長産業としての観光業への期待が高まる中、県では、県民、観光事業者・関係団体、行政が一体となった「オールとちぎ」によるおもてなし強化、観光立県とちぎづくりを呼びかけている。
今後、栃木の観光にはどんな取り組みが必要なのだろうか。
全国でも先進的な取り組みとして注目される大田原ツーリズムの代表取締役社長、藤井大介氏と、観光ビジネス研究や観光地域や企業、施設のフィールドワークを行っている千葉商科大学サービス創造学部の山田耕生准教授。
観光の現場を知る二人に話を聞いた。

まず山田教授が、「LCC(Low Cost Carrier)が就航して人の流れが変化したり、OTA(Online Travel Agent)というネットで旅行商品をダイレクト販売する企業が出てきたり、藤井さんが実践しているような地域主導の観光を提供するDMO(Destination Marketing Organization)も活発になっています。
これまでのビジネスモデルが大きく変わってきています」と、観光業界の現状を分析。
藤井氏は、「旅行は時代とともに団体から個人へとシフトし、インバウンド拡大施策により変わりつつある」と述べ、「地方の観光はやっと動き出したばかり、これからです」と発言。
「地方に回遊性がなく、日帰り旅行が増えてしまっているという本質的な課題が日本中に山積みになっている」と指摘した。

さらに個人旅行の受け皿となる農家民泊の必要性について「地方に民泊は不要」と断言した藤井氏は「インバウンドへの対応として求められるのは、二次交通とワイファイ整備ではなく、長期滞在の拠点となるような宿泊施設です。

イタリアの2つの宿泊形態、アグリ・ツーリズモとアルベルゴ・ディフーゾ私たちは、イタリアの2つの宿泊形態、アグリ・ツーリズモとアルベルゴ・ディフーゾを参考にしなければならないと考えています」と、昨年、ともにイタリアで視察してきた宿泊施設を紹介。
「日本にも長期滞在のための宿泊施設を作らなければなりません。その上で、地方を回遊する観光スタイルを提案していくことが重要」と、栃木における農村民泊、エリア観光の可能性を示唆した。

最後に、とちぎ観光の未来について、山田教授は「東京からのアクセスに恵まれ、海を除いたあらゆるタイプの観光資源が揃っています。
農家民泊を長期滞在拠点としてエリア観光を提供するための条件が整っている地域」と、栃木のポテンシャルを高く評価。
藤井氏は、既に手掛けている農家民泊や広域観光に触れ、「クリエイト」をキーワードに、ICTによる情報発信・販促活動推進による需要拡大の必要性を語った。

【プロフィール】

藤井 大介 (ふじい・だいすけ)

1975年埼玉県岩規市(現さいたま市)出身。
株式会社ファーム・アンド・ファーム・カンパニー代表取締役として地域づくりや経営コンサル事業を行い、惣菜・飲食事業「下野農園」を展開する。

また、大田原市と官民一体で、グリーン・ツーリズム事業を推進するため株式会社大田原ツーリズムを設立。
代表取締役に就任。農業民泊などの体験プログラムを提供する。

 

山田 耕生 (やまだ・こうせい)

千葉商科大学サービス創造学部准教授。
1973年秋田県大館市出身。

2002年立教大学大学院観光学研究科博士後期課程満期退学。
帝京大学経済学部地域経済学科准教授を経て現職。
観光地域論、農村観光論が専門。
現在は農家民泊における個人旅行客の受入れ普及をテーマに各地の調査、研究を行っている。

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